2012年7月25日水曜日

法律は知らなかったではすまされない。

今月のFPの勉強会は「ケースで見る『身近なくらしの法律知識』」というタイトルで高木侑子弁護士(まだ20代ですがバリバリのやり手そうな女性でした)が講師。
身近な具体例からの話をもっていくのでわかりやすい講演でした。以下に参考になりそうな例をピックアップしてみました。

1.総論編「言い訳のできない法律違反。条例、政令、条約まで含めると法律はなんと8000もあり、専門家といえどもすべてを知っている人はいないにもかかわらず、法は知らない人が悪い、の世界。(怖い世界ですね)。

2.家族編では「夫・妻・子供の携帯メールや手紙をこっそり見るのははたして合法でしょうか?」
実は「違法」なのです。家族内であってもプライバシーは守らねばならないのです。ただし違法な収集であっても民事訴訟では証拠能力として認められているので、離婚裁判ではこれが決め手となる場合もあります。刑事裁判では違いますが。

3.会社編では「身元保証人はどこまで責任を負うのか?」保証人ですので膨大な損害賠償を請求される可能性はあります。ただし特に定めていなければ最長5年の自動更新なしですのでそれを過ぎた場合は免責です。身元保証人には安易に応じないほうがいいですね。

4.近所トラブル編 割愛
5.公権力編 国民健康保険の滞納に時効はあるのか?2年で時効とのこと。(通常債権は10年ですが)ただし請求があると時効は中断されるので結局は逃げ切れない話。

6.「返すのはいつでもいいよ」と言われて借りたお金。突然の請求は可能か?
返済期限が明示されていない借用契約の場合、貸主はいつでも返済を請求できるので怖い。

7.自分でできる訴訟のノウハウ
ポイントは事実と証拠。感情への訴えかけは相手にされない。裁判所は「弱い者の味方」でもなければ「正義を実現」する場でもない。(そうだったのか。目からうろこですね)

たいへん有意義なセミナーでした。来月は前川貢氏による「長期・分散投資が効かない時代に投資で成果を上げるコツ」とこれまたおもしろそうなセミナーが予定されています。


2012年7月17日火曜日

株式投資の税金がこんなにも違う話

日本の税制のトレンドは法人減税、個人増税ですが、株式投資の税金が個人の場合と法人の場合とで大きく違う、という点についての話です。
まず一般論として個人が資産を譲渡して所得を得た場合、総収入金額から取得費を控除した金額(譲渡所得)については超過累進課税により総合課税されます。累進課税ですから所得の多い人ほど多額の税金がかかることになります。譲渡した結果マイナスになった場合には給与所得などの他の所得との損益通算が可能ですので税金を減らすことができるわけです。
ところがこれが株式譲渡になると一般論とは異なり一律20%(現在は軽減税率10%ですが)の税率で課税され、かつ他の所得との損益通算はできないのです。(分離課税です)
まあ総合課税の最高税率は地方税を合わせると最高50%ですからこれでも税率面では優遇されている、ということでしようか。(高額所得者ほど優遇されている、というのはヒガミ?)
では譲渡損失が発生した場合は?というと株式は他の所得との損益通算は認められていないのですが、例外的に上場株式の譲渡損失と上場株式の配当所得だけは認められています。それでもマイナスが残る場合はその後の3年間損益通算は可能ですのでラッキーということでしょうか。
次は法人の場合です。
法人で株式を譲渡した場合は他のすべての所得と合算して一律に法人税がかかります。さらに合算後の所得がマイナスになった場合9年間の繰り越し控除が可能なわけです。法人有利ということでしょうか?
結局個人で株式投資をした場合の最大のメリットは譲渡益にかかる優遇された税率ですね。おおむね法人税の実効税率30%を大きく下回っているからです。
でも損失がでた場合他の所得との損益通算が制限されていること、たとえできても繰越は最大3年ですからこの点では法人よりは不利ということでしょうか。
結局利益が出た場合は個人が、損失がでた場合は法人が有利な税制のしくみといえますね。

2012年7月11日水曜日

あじさいの花

梅雨の時期に映える花あじさいはその種類も多く、花の色が「七変化」といわれるくらい時期によって変化していくこと(土壌のPHによっても色が変わる)、群生していることも多いのでついついカメラを向けてしまうのですが、メリハリがないので美しく撮るのは意外と難しい花です。
晴れている時より雨天のほうが似合う花です。
埼玉県の幸手市に権現堂堤という場所があります。江戸時代利根川の洪水から江戸の町を守るために築かれた堤防(話の雄大さに驚きます)で春は堤一帯に咲く桜の花で有名ですが、今の季節あじさいでも有名な場所です。
今にも雨が降り出しそうな1日、あじさい撮影に行ってきましたのでご覧ください。
1枚目はアップ。紫の花をメインにして手前の赤っぽい花、後ろの赤いボケ、水滴(これは演出ですが)で構成してみました。
2枚目はアナベルという種類の白い大きな花と紫の花の多重露光です。別々に撮ると平凡な写真が不思議な雰囲気を持った写真となりました。




2012年7月7日土曜日

増税は消費税だけにとどまらずだが・・

結局は予定通りの消費税増税に辿り着きそうですが、ニュースの話題にはなっていませんが消費税以外の分野でもいろいろな分野で増税が決定されています。
給与所得の分野ではサラリーマンの必要経費とみなされる給与所得控除に上限額が設定されました。1000万円を超えた給与収入では従来は「収入額x5%プラス170万円」という控除額で、収入が増加すると5%ずつ控除額も増加してきました。(収入1000万円だと220万円、2000万円だと270万円)
サラリーマンの必要経費が収入に応じて上限なく増加する、とは考えにくいことや所得格差の是正という観点(むしろこちらの点が本音かもしれません)から2013年以降の所得税、2014年以降の個人住民税では収入が1500万円を超える場合給与所得控除として認められるのは245万円の固定額となりました。
http://harada-kaikei.cocolog-nifty.com/taxfaxnews/2012/02/post-24bc.html
この結果給与収入2000万円の場合の増税額は10万円余、3000万円の場合は37万円余と高額収入者ほど所得税増税になるわけです。
まあ今の時代1500万円以上の収入のある高額所得者にはこれくらいの負担増は許容範囲なのかもしれません。
じつはもともとの増税案には「一般従業員対象」と「役員対象」とがあって今回の増税は「一般従業員対象」だけなのです。「役員対象」では245万円の上限に加え、さらに高額の収入の場合控除額を減額する、という案だったのです。(4000万円の収入だと125万円)
ところが最終決定では役員についても245万円の上限設定だけでそれ以上の見直し行われないことになりました。ここがこの増税案の疑問のポイントです。

結局「高額所得者に対する増税をやりました」というポーズだけで本当の高額所得者への増税は踏み切れなかったのでしょうね。
民主党らしさのまったくない増税案ですね。
高額所得者にかかわる給与所得控除の見直しは「社会保障と税の一体改革案」にも含まれていませんので今後もう議論されることもないのでしょうね。