2011年5月25日水曜日

気になるデータ:長期投資の時代は終わったのか?

投資に関してちょっと気になるデータを発見しました。
日本証券経済研究所が発表した「株式投資収益率調査」というものです。東証第一部の全銘柄をある年の平均株価で購入した時の配当込み収益率(年平均の複利)というもの。
たとえば2000年に購入して10年保有した後2010年に売却した場合の収益率は-1.3%。これは10年前に100万円を投資した場合10年後には87万7千円になっていた、ということ。
1990年に購入して20年間保有していたら収益率は-0.6%。100万円が88万7千円に目減りしたというわけ。
至近の3年前にいたってはリーマンショックの影響大でなんとー15.2%。3年前に100万円を投資していたら60万円に大きく目減りしていることになる。
では1980年購入、30年保有していたらとみるとこちらはさすがにバブルの恩恵で収益率はプラス+5.7%で、長期保有の効果大。100万円は527万円と大きく資産を増やすことができた勘定。
株式投資で資産を増やすためには「バイアンドホールド(買って持ち続ける)」ことが重要といわれているが、残念ながらバブル崩壊やリーマンショックのおかげでそうした戦略は過去のものとなってしまったことがデータで裏付けられてしまったことになる。
サラリーマンの長期的な資産形成ファンドとして人気の高いさわかみファンドをみても3年間の収益率はー18%であるのでプロに運用してもらっても資産を増やすことはできなかった、ということか。
今後の経済成長に期待したいところであるが、人口減の日本経済には値上がりのチャンスとともに値下がりのリスクも大きいので株式の長期保有による大きなリターンは期待しがたいということだろうか。
これは東証1部銘柄平均値での分析であるが企業の中には新興国市場の高成長を取り込みながら地道に利益成長を続けている銘柄もあるので、今後投資家はそうした個別銘柄を探して投資していくことになるのであろうか。一般の投資家が株式投資で成功するハードルは高まったといえよう。

2011年5月15日日曜日

心臓弁膜症についてのTV

先日NHKの「ためしてがってん」というTV番組で「ある日突然心臓がとまる」心臓弁膜症のことが放映されていました。
以下は番組のHPからの抜粋ですが弁膜症のことがわかりやすく解説されています。

「弁がときめく?心臓の「ドックンドックン」という音は、弁が閉まるときに出る音だって知っていましたか?」
「弁の異常でおこる心臓弁膜症は、その音にも異常が現われます。つまり、なんと心臓の音が「ドックンドックン」といわなくなってしまうんです。
心臓の弁なんて、ふだん意識することはまずありませんよね。でも、厚さ1mmに満たない弁に
ひとたび異常がおこると、心臓は巨大化し、命の危険にすらさらされます。そして、胸ときめいた
ときの「ドックンドックン」という心臓の音は、「心雑音」と呼ばれる別の音に変わってしまうのです。
弁がなければ、心臓はいくら筋肉が血液を吸い込み押し出そうとしても逆流してしまいます。
つまり、心臓の本質は実は、弁なのです。恐ろしいナゾの心臓病は、この弁の異常が原因だったのです。
弁は長年使うとカルシウムがつき硬くなって開きにくくなるんです。
リスクを高めるのは、動脈硬化、高血圧、脂質異常症、糖尿病、メタボリックシンドローム、喫煙、男性など。さらに高齢もリスクの1つ。誰にでもおこる病気といえます。
根本治療は手術しかありませんが、一度行えば再発もほとんどなく安心して暮らせます。
60歳を超えたら、内科に行ったときに一度は聴診を受けることをお勧めします。
もし心雑音があったら、ぜひ心臓超音波(心エコー)の精密検査を受けるようにしてください。

番組では娯楽性を高めるためか、心臓肥大になる例としての 妊婦やスポーツ選手のことに時間を割いていましたが一般の人にとって重要なのは
 「弁膜症は誰でもなる可能性がある病気で自覚症状がほとんどないので危険なこと」
「健康診断では必ず聴診を行うこと」の2点だと思います。
かくいう私も3年前運よく弁膜症がみつかり(弁膜症と診断された人は運がいい人、といわれているくらい自覚症状がない病気)心臓弁膜症の手術を受けた一人です。(私の友人の間でも既に3名が弁膜症の診断となりました。うち1名はその後心不全を起こして通勤途上に亡くなってしまいました。気をつけましょう)
医者の問診の際には聴診器による検査がありましたがあれは弁膜症の検査だったわけですね。

ところが書店の医療関係のコーナーには病気についての本がたくさん並んでいますが、心臓についての本は狭心症、心筋梗塞などの虚血症心臓病や不整脈の本ばかりのような気がします。
弁膜症というと「リウマチ性弁膜症」といわれたことがあり、子供のころの細菌感染が原因でごく一部の人だけがかかるもの、先進国では抗生物質の普及とともに激減した病気、とされてきた時代がありました。
ところが今では弁膜症手術数はうまぎのぼりに増加しており、榊原記念病院の集計では狭心症や心筋梗塞に対する冠動脈バイパス手術よりもその数が多い、とのことです。

この病気についてもっと皆が注目してもいいようですね。

2011年5月7日土曜日

年代別の資産運用原則

資産運用の方法として時間を味方につけた「積立投資」が好ましいことを先日このブログで紹介しましたが、最近の日経のニュースの中に積立投資を世代別にブレイクダウンした記事をみつけました。すなわち

20代は若いので運用期間を長くとれるのが強みなので少ない金額でもいいのでともかくもコツコツ積立を始める世代。
これまで貯めてこなかった30代は家計を根本から見直して積立を始めることが肝要。この場合の家計の見直しのポイントは家、保険、車、教育費。30代で積立を始められるかどうかで将来のゆとり度が決まってくる。
40代は教育費などあらゆる出費がかさむ世代ではあるが、老後にむけた最後の貯め時。なんとか毎月の積立額を増やすことを考える。妻の就労で賄うことが重要。
50代になったら具体的に老後の資金を試算してみて足りない場合は生活費のカットで対応。リタイア目前のこの世代が値動きの激しい金融商品を買うことは避けるべき。ましてや退職金をあてにした資産運用は考えないこと。


ここで紹介された原則はきわめて一般的なものですが、FPアドバイスとしても示唆に富むものだと思いました。

我が家のGWは子どもたち(といってももう十分に成人なのですが)2人それぞれが米国公認会計士受験、日本の司法試験受験に忙殺されていたため糸が張り詰めたような日々でした。
気分が爽快となる新緑の写真を添付します。

2011年5月1日日曜日

サラリーマンが病気になったら

サラリーマンの場合給与を受け取りつつ休みを取れる有給休暇制度がありますが、今日は大きな病気やケガで長期の休暇が必要となった場合の救済の制度の話です。
有給休暇を使い果たしてしまうと欠勤扱いとなるため給与が大幅に減額となったり、場合によっては会社からの給与支給がなくなってしまいます。

このような場合に健康保険から支給されるのが「傷病手当金」です。健康保険の被保険者(扶養家族は対象外です。念のため)が病気やケガのために働くことができず、勤務先から給与を受けられない場合、連続した欠勤3日間の待期後4日目以降から最長1年6カ月にわたり、標準報酬日額(4,5,6月の平均給与に近い金額から算出される)の3分の2に相当する額の傷病手当金が支給されるのです。なお国民健康保険ではそのような給付はありません。
傷病手当金では社会保険料は差し引かれますが所得税・住民税は非課税なため実質の手取り金額でみると月次給与との差はそう大きくはありません

そのうえ健康保険には高額療養費制度があり、おおざっぱにいえば普通の所得者であればほぼ月額8万円を超える医療費の支払いは発生しません。

不安の時代を反映してか最近のTVや新聞には医療保険への勧誘をすすめる広告が目立つようです。保険に加入することで安心を得るのは結構なのですが、反面毎月相当な額の保険料が発生するわけです。
FPの立場からいえばその金額は使途に色のつかない貯金として積み立てておいたほうが有効なような気がします。