2009年10月23日金曜日

上野千鶴子講演

水曜日午後には日比谷公会堂で家事調停委員の集まりがあった。前半の部には東大の上野千鶴子教授の講演があった。
上野教授には社会学のなかでジェンダーに関する刺激的な分析・著書が多く最近は大ベストセラーとなった「おひとりさまの老後」が有名。
本人いわく最近は「おどし系」から「いやし系」に変身した、とのこと。
講演は日本の家族の変貌に関する話から始まった。
日本では性と愛と結婚が一体化したこれまでの家族が崩壊してきており(欧米ではとうの昔に崩壊)若者世代との間に大きな世代間ギャップが生じてきていること。
晩婚化・非婚化が少子化の要因になっているが、60年代日本の全員結婚社会(誰しも結婚して世帯をもてた時代)は歴史の中ではきわめてまれな時代であったこと。
政策による人口対策には効果がないこと。ましてや金銭インセンテイブ(子育て支援金のことか)には効果がないこと。
少子化、人口減少、おひとりさま世帯を前提とした社会設計をしていく必要があること。格差社会から連帯社会へつくりかえていく必要があること。
などデータをもとに示唆に富んだ講演であった。

2009年10月9日金曜日

市民自主学級セミナー 高齢者の住み替え問題

1年前から準備してきた川崎市高津区市民自主学級「人生100年時代をあなたらしく生きるコツ」の第一回セミナーが昨日開催されました。台風上陸ということでハラハラしたのですが開始時間の14時にはほぼ満席の40名弱の市民のみなさんが参集してくれ、シニアライフ情報センター事務局長の池田敏史子さんの話が始まりました。途中休憩もとらずほぼ2時間にわたって高齢者のすまいの問題について熱の入った講演となりました。
多くの介護施設を調べかつ入居者の相談相手をしてきた池田先生の話には説得力がありました。

誰でも現在住んでいる自宅で終えることを念願するが、75歳以上の介護期になるとそれを実現するにはたいへんな費用がかかること(介護保険をつかっても月額40万円近い費用負担が発生するとのこと)、今の時代子供たちもあてにはできないことから結局介護体制のある施設に住み替えていかざるをえないのが現実。その場合のポイントとしては

1.現在の生活との連続性のあるすまいとすること(地域、仲間、家族、生活スタイルとの連続性)
2.判断力・体力のあるうちに決心すること(介護が必要になってからでは遅い)
3.自宅の整理・処分は早めに(売却や処分には時間がかかるし足元をみられる。)
4.バスの便など生活の足が確保されている場所へ(外出できなくなると衰えは早い)
5.食事への配慮がされている施設
6.介護付きの場合はデータでその質をきちんと見ること(職員の定着度など)
7.早めの住み替え(特に生活管理能力のない人、子供がいない人、孤独感が強い人)
8.保証人・身元引受人を確保すること(どこへ入居するにしろ要求される)

しめくくりのことばとして
「高齢者にとって理想的な住み替えというのはもはや絶対に存在しない。結局何かを捨てて何かを拾うという覚悟が必要である。自分の老後の暮らしをイメージし、住み替えの目的の明確化、自分自身の条件整理、事前の情報取得などをやっていくことが大事である。」

アンケートをみるとみなさんたいへん満足されていたことが伺われた。主催した我々も大満足。
来週は第2回目で介護保険についての講演を予定しています。

2009年10月6日火曜日

生活保護の実態

ライフプランを考えていく上でセーフテイネットの最後の砦としての生活保護について知っておく必要があろう。
生活保護法第1条では「日本国憲法第25条の理念に基づき国が生活に困窮するすべての国民に対して、その困窮の度合いに応じて必要な保護を行い最低限度の生活を保障すること」を規定している。
そしてすべての国民はこの法律による保護を「無差別平等」に受けることができるのである。
生活保護は国が定めた「最低生活費」と、その世帯の現実の収入の差をみて不足分が支給されます。
では国が定める「最低生活費」とはいったいいくらなのでしょうか?それは次の8つの扶助から成り立っており、それぞれについて扶助基準額が決められているのです。
1.生活への扶助 生活している地域や世帯を構成する家族の人数や年齢によって決められていますが、横浜市に在住している標準的な3人家族の場合だと月額165、180円。高齢者の単身世帯だと79,530円です。
2.住宅への扶助 家賃、地代、敷金、礼金、住宅補修費などの実費相当。横浜市に在住している6人以下の家族だと基準値は69,800円以内。
3.教育への扶助 基準額+教材費+給食費+通学交通費+学級費+夏季施設参加費 などについて金額が決められています。
そのほか 4.医療扶助 5.介護扶助 6.生業扶助(自立のために技能を身につける費用)
7.出産費用 8.葬祭費用
いっぽうその世帯の収入については 就労による収入に加え 親族による援助、年金収入、資産収入(貯金や保険は解約、不動産は売却が前提)などが加味されてくる。利用できる資産、能力その他あらゆるものをその最低限の生活維持のために活用することが要件となるわけである。
生活保護を受けると国民健康保険の資格がなくなる。代わりに福祉事務所から「医療券」を受取り、それを指定された医者に持参して診療を受けることになるのが大きな変更点である。もちろん地方税、住民税は免除される。
ではいったいどれほどの世帯が生活保護を受けているのであろうか?
全国平均でみると 全世帯の1.3%程度であるが、横浜市の場合 1.5%、大阪市にいたっては 4.8%(ほぼ20世帯に1軒、つまり50世帯に1軒)にもなるのは驚き。
ちなみに生活保護を申請すると 預貯金、保険、不動産等の資産調査、就労の可能性調査、扶養義務者による扶養の可否の調査、就労収入の収入調査などが行われるし、支給後は年数回の訪問調査、収入・資産の届け出が義務化される等生活実態の確認が福祉事務所によって行われる。
生活保護についてはいちおう知識を持っているだけにすませたいものである。

2009年10月2日金曜日

心臓病その後

昨年の1月に心臓の手術を受けています。手術は成功し現在はまったく以前と同じ通常通りの生活をしているのですが、血圧を下げる薬を毎日飲んでいます。おかげで手術前140あった最高血圧が現在は100で安定しています。心臓の専門医である主治医の言では100/70という血圧が心臓はもとより血管にとっても負担が少ない一番いい値だそうで、老化に伴って生ずるさまざまなリスクを軽減することが可能とのことでした。
しかし薬の副作用が発生しました。最近になって肝臓の状態を示すγGTPの数値が急激に高くなってきたのです。標準値が80以下といわれている数値がこの夏には250にまで跳ね上がってきました。当然酒はダメなレベルです。疲れやすいとかだるいとかの自覚症状もないのでさほど気にすることもない、とは思いつつも沈黙の臓器といわれる肝臓ですし心臓がよくなった代償として肝硬変や肝がんになるのも勘弁(大好きなワインが飲めなくなる)なので、この夏はγGTP改善のために薬の変更はもとより、酒量の抑制を敢行してみました。とはいうものの暑い夏でしたのでビールやワインはコップ1杯程度で我慢しノンアルコールビールへの切り替えです。特に血液検査の前は1週間の断酒です。
そして結果は見事110まで低下しました。
なんと主治医からは「酒を飲んでもいい」とまでお墨付きをもらったのでした。
定期的に医者に通って内蔵の状態を検査していくことの必要性を痛感した夏でした。