2018年2月26日月曜日

ビュールレコレクション展

六本木の国立新美術館で「ビュールレコレクション展」が始まりました。
行ってびっくり。展示作品はどれもこれも名画ばかり。
普通海外からの作品展は目玉の数点を除くとあとは退屈な作品が多い(個人的感想ですが)のですが、今回の作品展はどれもこれも目がクラクラしてしまうほどの名画ぞろい。
始まってまだ1週間ほどだったためか混雑することなくゆっくり鑑賞できました。
今度のNHK日曜美術館で紹介されるのでその後は大盛況となるでしょうね。

まずは目玉中の目玉。ルノワールの「イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢」
 ルノワールには珍しく輪郭線のはっきりしたポートレート。肌の白い色の表現が見事。ライテイングに絵の具が反射しているのかそばに寄ってよくみるとあちこちが金粉をまぶしたようにきらきらしていた。実に美しい肖像画だった。

セザンヌの「赤いチョッキの少年」絵画の教科書に出てくる作品。いびつな右腕の長さを感じさせない堂々たる作品。
ゴッホの「日没を背に種まく人」
よくあるうねったようなゴッホ作品に比べると色の使い方が繊細。構図はダイナミック。鑑賞していて不思議と力が出てくる作品。

ゴッホは他にも「花咲くマロニエの枝」。
アムステルダムのゴッホ美術館にある「花咲くアーモンドの枝」と対をなすさわやかな明るい絵。これもゴッホにしては珍しい。

印象派美術展というもののカナレットのベネツイア風景画もみごたえある。

これだけの名画を収集したビュールレという富豪だがドイツ人で工作機械会社の再建に成功して財をなしたらしい。つまり2度の世界大戦でドイツやイギリス、フランスなど対立する国々に武器を販売、死の商人で大儲け。戦後は美術品を敗戦国やユダヤ人から略奪したのではないか、と疑いまでかけられた、という(裁判では無罪となったらしいが)。このあたりあまり知らないほうが名画鑑賞上はいい気がしました。


2018年2月15日木曜日

親権って何?

事例から。
離婚話を進めている夫婦。2人には高校生と中学生の娘がいる。
母親は仕事はしているものの2人の娘の教育費まではめんどうみれない、と心配。
父親は他に兄弟がいないこともあって2人の娘に自宅と墓を受け継いでもらいたい、の意向。
そこで父親は母親に提案。娘が日常生活は母親のもとで過ごすことは了解するものの、親権については父親側としてもらえれば今後必要となる教育費は全面的に負担する、というもの。
娘たちも母親のもとで生活しているが別居中の父親との間を自由に往来しているので親権の行方についてはあまり気にしていない。
ということでなんとなく関係者の利害が一致して「親権」父親で離婚が成立した。

そもそも「親権」とは未成年者にかわって法律上の契約を結ぶ権利であり、未成年者の就職とか進学などの場合に必要になってくるものですが、子供が成人してしまうともはや意味がないこと、さらには実家を継ぐとか、遺産相続する、とか墓の継承するとかとはまったく関係がないことです.
この父親の娘たちへの期待は単なる「願望」に過ぎなく実行性の極めてあいまいなものですね。そこまで読んで「親権」問題と「進学費用負担」問題をからめて離婚条件とした母親側のしたたかさが見事だったようです。

2018年2月9日金曜日

ブリューゲル展

上野の東京都美術館で開催中のブリューゲル展へ行ってきました。
話題性のある絵がなかったこともあり会場はたいへんすいていました。
一族の父、子、孫それぞれがいかにも「ブリューゲル調」というような絵を描いていた、ということのわかるものでした。
そのへんの解説はhttp://www7b.biglobe.ne.jp/~notre-nao-dame-postcards/gakki-5-107.htmで詳細にされています。

この絵は父ピーターブリューゲルの子の作の「農民の踊り」ですが父にも同じような踊りの絵がありますね。踊っている農民(男)の股間の一物の大きさが父と子の作品ではかない違うと思いました。どの男のも異常に大きい。

この絵も子の作品「鳥罠」。画面右、大きな木の根元に罠がセットされていていまにもまわりで餌をついばんでいるとりが捕獲されそうです。でも小さすぎて説明されてみないと単なる風景画だと思ってしまいそうです。

バベルの塔の絵ですが、有名なブリューゲル作ではなく別の画家のものです。実によく似ています。細密描写もすごくて目が痛くなりそうです。