2012年6月5日火曜日

個人向け復興応援国債(記念貨幣つき)の収益性について

「個人向け国債」は金利が通常の定期預金より高くて途中換金可能、元本安全ということでシニアを中心に人気がある金融商品ですが、寄付ではない方法で復興応援をしたい、という気持の人向けに「個人向け復興応援国債」という新しい個人向け国債の募集が始まりました。http://www.mof.go.jp/jgbs/individual/kojinmuke/
この個人向け国債は10年満期国債ですが、当初3年間の金利は個人向け国債の下限である0.05%が適用され、4年目以降は通常の「基準金利x0.66」で計算された金利が適用になるものです。中途で換金せず3年間保有すると保有残高に応じて財務省より「東日本大震災復興事業記念貨幣(保有残高1000万円毎に金貨1枚、100万円毎に銀貨1枚)がもらえるものです。
資金の元本をへらすことなく復興に応援ができてかつ金貨・銀貨がもらえるし、ということで悪い話ではないような気がしますね。
FPとしては収益性が気になるので計算してみました。

1.金貨についてですが、額面1万円で15.6グラムの純金製。本日時点での田中貴金属の金地金1グラムあたりの買い取り価格は4324円(税込、手数料含まず)ですので15.6グラムなら67454円です。
2.記念貨幣のついてない通常の個人向け国債1000万円を購入すると、(今回募集する国債の適用金利はまだ発表されていないので)この3月に募集された個人向け国債(記念貨幣のないもの)の金利0.64%をベースで試算した場合の当初3年間に得られるであろう利息は(3年間金利に変化がないとすると)19万円余となります、(税引き前)
3.記念貨幣付きの応援国債1000万円の3年間の利子は利率0.05%固定ですので1万5千円となります。3年後に金貨を売却したとして売却価格が1.で計算した値段(67454円)であったとしても収益は8万2千円余ですので記念貨幣のついてない個人向け国債購入に比べ10万円余の収益減となるわけです。
4。ではこの収益減を埋めるために3年後の金買い取り価格がいくらに値上がりしている必要があるかというと減少する収益分10万円余を15.6グラムで割って1グラムあたり7千円となります。
本日の値段にこの値上がり分を加算して1万1千円以上に値上がりしている必要があるのですね。
ということは金価格の値上がりだけで収益減を埋めるのはまず無理ということでしょう。
5.あと期待できるのは発行枚数が限定されることでのプレミアムですが、予測不可能です。

結局まったく損をしないで復興に応援するというしくみではなさそうですが、あとは気持ちの問題ですね。

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