日々裁判所で離婚問題の紛争解決(時には修羅場の場合もありますが)に直面しています。問題の解決にあたってのよりどころとなるのは民法等の法令は勿論ですが、同様の問題についてこれまでの裁判での判例がどうであったか、というのが大きなウエイトを占めています。というのは法令はあくまで原則的なもので個別事情については法令を解釈し判決を下す裁判官の判断に委ねられるからです。
最近判決にみられる判断基準に変化がでてきたな、と感じたケースがあります。
①離婚に際しての財産分与問題での退職金の扱い
退職金については確実に支払われるかどうかは退職時にしかわからないこともあり、退職が近い場合あるいは支払われることがほぼ確実な場合しか財産分与の際の議論のテーブルにのせてこなかったようでしたが、最近はまだ退職まで間がある場合でも現時点で自己都合退職をしたと仮定した場合に支払われるであろう金額を財産分与の対象とするケースが出てきています。将来会社が倒産して退職金が予定通りには出なくなることもあるのですが、その可能性にはおかまいなく離婚時には既に相手方に相当額が支払われてしまうわけです。厳しいですね。
②夫婦関係破綻の認定
裁判で離婚が認められるためには不倫、暴力等の不法行為のほか夫婦関係が既に破たんしていることを認定してもらわねばなりません。そのためには婚姻期間との関係で相当程度の別居期間があることが必要とされてきました。しかしながらその期間も短くなってきているようで3年程度の別居でも破たんしている、と認定されるケースがでてきているようです。
離婚に対する社会のハードルが下がってきているような気がします。
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