2009年6月26日金曜日

親から子供への資産移転の促進

親が蓄積した資産は親の代で使い切ってしまおうという風潮が強いのですが、死後ではなく生前に資産を移管して有効活用してもらいたい、というような親もいます。
死後の相続では残された資産の半分は配偶者へ、子供たちはその残りを均等に配分、というのが相続税計算の原則ですし、通常生前の贈与となると非課税控除額は年間わずか110万円しかありません。おまけに贈与税率は相続制率よりもはるかに高い、のですからなかなか思ったような資産移転が進まないわけです。
このままでは世代間の富のスムーズな移転・再配分が進まず活力ある社会が築けないのでは、という懸念があります。
そこで登場したのが相続時精算課税制度という贈与と相続を一体に考える制度です。65歳以上の親から推定相続人である20歳以上の子供に対しての生前での資産贈与に対して複数年にわたって利用できる非課税基礎控除額2500万円を設定し、それを超えた額に対してのみ20%の税率を掛ける制度です。逆にいうと2500万円までの贈与なら税金の支払いは発生しないわけです。住宅取得のための資金贈与であれば年齢制限も緩くなり、かつこの枠は3500万円までに拡大されます。
この制度は父親からと母親からの両方からの贈与に対して別々に適用が可能ですから控除枠は倍になる計算です。
贈与した親が亡くなり相続の段階でそれまで相続時精算課税制度をつかって贈与した資産を他の相続財産と合算してあらためて相続税の計算を行うというものですが、もともと相続時には5000万円プラス1000万円×相続人数、という非課税控除枠がありますのでよっぽどの資産家でない限り多額の税金の支払いは発生しないと思われます。
長年蓄積してきた資産を若い人たちにどのようにバトンタッチしていくかあらかじめ考えておくのも親の責任かもしれませんね。

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