2016年12月4日日曜日

発想を変えてみる

担当している離婚問題での話。
定年退職した夫から専業主婦だった妻への離婚請求。
両者とも相手に不満。夫は妻の浪費。妻は夫の女性問題。両者とも既に別居しており、子供も成人しているのでさほど問題なく離婚に至るかと思いきや、財産分与で大激論。
夫は長年自由に使わせてきた多額の生活費が妻の貯金に化けているはずなのでその使途を明らかにすべし、という主張。
妻は離婚には応じるが、今更なによ、とばかり財産分与として現在住んでいる自宅を譲渡してくれ、という主張。
両者ともに相手に対する積年の不満と今後の老後の生活を考え一歩も譲りません。
家の名義人である夫側は妻が600万円を支払ってくれれば家を譲渡する、という段階まで話は煮詰まったのですが、妻側にはそれだけの現金を用意する手当ができませんし、夫への不満がある妻側は逆に家の無償譲渡を要求してきます。折半が原則の財産分与ですから無償譲渡はバランスを欠くのも確か。

となると財産分与の一点で離婚不成立。現状維持、別居継続となってしまいますが、冷静に考えてみると妻の側としてはこのまま夫が所有する自宅に住み続けていても決して安心できるものでもありません。

こう着状態となったのですが妻の側に発想の転換をはかってみました。
「今の時代600万円で住み慣れた自宅を手に入れることができそれによって安心した生活が保障され、将来は息子さんに渡していけるのであれば、これは安い買物ではないか?。」
「(融資先に困っている)銀行と話をつけてみてはどうだろうか?」

この一言に事態はバタバタと動きだし銀行からの融資話を引き出した妻側の努力もあってあっというまに離婚成立となったわけです。

ともすれば感情がからんで解決に至らない問題も第3者の冷静な視点が役に立つことがあるものだ、と痛感しました。



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