2008年10月19日日曜日

おひとりさまの老後

上野千鶴子東大教授が執筆した「おひとりさまの老後」という本が静かなベストセラーとなっている。
「なあんだ、みんな最後はひとりじゃないの」に始まって「おひとりさまの死に方5か条」にいたるまで家、孤独との付き合い方、お金の問題、介護、遺言にいたる老後の人生のさまざまな問題について明快に論じられている。彼女はフェミニズムの論客として知られており、「女遊び」「発情装置」「サヨナラ学校化社会」等現代の世相を分析して喝破する彼女の論理は気持ちがいい。
この本の影響か「おひとりさま」という言葉がブームになっている。決して若い独身男女のことではなく、連れ合いをなくして一人暮らしをしているシニア世代のこと。
65歳以上の高齢者の一人暮らし世帯はすでに410万もあり、圧倒的に女性が多く、すでに女性高齢者の2人に一人が「おひとりさま」になっている。80歳以上になるとなんと女性の83%が「おひとりさま」である。
この本の中で上野さんは楽しい楽しい「おひとりさま生活」の過ごし方を多角的に論じているのであるが触れてないのが認知症高齢者あるいは精神障害になった場合の問題である。
現在200万人もいる認知症高齢者は15年後には323万人にも増加し、なんと65歳以上の10人に一人がなるという恐ろしい予測がある。

ファイナンシャルプランナーの立場からみると、おひとりさまの認知症高齢者の財産管理はいったい誰がおこなうのか、高齢者をねらった悪徳商法が多発している世相の中で身寄りのいないぼけた「おひとりさま」の資産管理・契約行為をどうするのかが課題となってくる。
制度的な対策としては2000年に任意後見制度、法定後見制度ができ、本人あるいは家庭裁判所による後見人の指定ができるようになった。
しかしながら後見人制度に対する本人や社会の理解がまだ不十分であること、後見人適格者が少ないこと、もあって当制度はほとんど利用されていない。
もっとこの制度の存在をPRしつつ環境整備をしていく必要があると思う。

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