2017年7月15日土曜日

無償で使わせてもらっていたら

事例から。
ある兄と弟の話。自営業をしている弟は仕事が安定していないために家を借りることができず住む家がない。もちろん購入することもできない。
一方兄のほうはサラリーマンで安定収入がある。
見かねた母親が兄に弟のために住宅ローンを組んでやれ、と頼みこみ兄は弟のためにローンを組んだ。兄には既に自宅用の住宅ローンがあったので第二のローンは事業用となった。(金利が高い)
弟は兄に対して毎月のローン返済額相当を家賃として支払う、という約束をした。(口約束で書類はない)
最初のうちは弟は家賃を支払っていたが、そのうち仕事が少なくなってきてそれを払えなくなってきた。
2つのローンを抱えてぼやく兄に対して母親は「弟のめんどうみてやれや」、弟は「兄貴はおれよりも豊かなのだからいいじゃないか。そのうち家は明け渡すから」と甘える世界。
こんな状態で年月が経ち、兄に定年が近づいてきて2つものローンに耐えられなくなってきた兄は弟に家賃の支払いを催促するけどラチがあかない。母親にもボケが始まりどうしようもない。
家屋や土地を無償で貸すことを法律では「使用貸借」といい、当初約束していた状態が守られなかったり、目的としていたことが終了したりした場合にはただちに退去する必要があります。
例にあげたような兄と弟のケースでは家主たる兄が要求した場合には弟は即刻立ち退く必要があるのですが、問題は他人ではない親族同士の場合法律どおりにはことを運べないのがやっかいです。兄が約束違反だと主張しても何ら書類がないため強制執行をするわけにはいきません。
とはいうものの法的には弟の立場は弱く、結局弟は半年の猶予期間を経て立ち退くこと、兄は弟に対して解決金として金銭の支払いを行う(引っ越し費用に充当)ことということを裁判所で約束することとなり一件落着となりました。

とはいうものの住む場所がなくなる弟に対して母を交えた親族間の話し合いでどうなるのか兄には不安が残ったようです。

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