法律上の夫婦であれば収入の多いパートナーには生活費(法律は婚姻費用といいます)の支払い義務が生じます。一般的には夫のほうが収入が多いのでそのような夫婦については夫は妻に対して生活費を支払うことになります。
ところが夫婦仲が悪化し、家庭内別居状態になった、とか離婚話が持ち上がってきた、とか別居状態になった、とかなると感情的な対立が発生するのでこの婚姻費用支払いに問題が発生します。
私がこれまで担当してきた案件のなかで夫の側からのよくある話としては、
1.食事の準備とか何もしてくれない妻には婚姻費用は支払いたくない
2.実家に戻ってしまった妻は実家に世話になっているのだから婚姻費用は不要なはず。
3.離婚の話をしているのだからもう婚姻費用は不要ではないか。
4.子供に対して生活費としての婚姻費用を払うのは納得できるが妻には払いたくない。
5.仕事をしている妻にはある程度の収入はあるのだから生活できているはず。夫からの婚姻費用は不要ではないか。
6.これまで夫の収入をすべて管理してきた妻には相当のへそくりがあるはずだから、これ以上の婚姻費用の支払いは不要である。
7.離婚話の中での財産分与の話とあわせて婚姻費用の精算をしたい。
8.別居は妻の勝手な行動だから夫側は支払いたくない。
これらの夫側の理屈については一見もっともそうですが、法律的にはすべて×です。
たとえ夫婦の実態がどうであれ、あるいは妻に貯金があろうとなかろうと 婚姻費用は日々の生活費ですので(収入の多い)夫はただちに支払う義務を生じるのです。
ですから後払いや他の費用との相殺などは認められません。
上のような主張を展開する夫側に対して私がよくする話としては
1.婚姻費用支払いという夫の義務を誠実に果たさないと離婚裁判において夫側に不法行為があった認定されて不利になる可能性がある。
2.決定された婚姻費用についてはそれを支払わないでいると強制執行の対象となって給与の差し押さえになる可能性がある。
ということで感情的にはどうであれおとなしく支払いに応じたほうがいい、ということです。
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