団塊の世代が60歳代となってきたが今後75歳以上のいわゆる後期高齢者の割合が急激に増加し(2020年には人口の15%に達する)、単身高齢者世帯数(おひとりさま世帯)は32%(2020年推定)となってくる。
年金、介護、医療など高齢者をとりまく課題・問題点が取り上げられているが、それらとともに今後大きな課題となってくるのが高齢者の家の問題であろう。
体力的に弱ってきた75歳以上の高齢者が現在の自宅にいつまで住み続けていられるのであろうか?
高齢者が社会的生活を営なみつつ居住できる住宅の条件としては、資金面の確保に加え住宅がバリアフリーであること、セキュリテイの確保、食事・衛生面での自己管理可能性、困ったときに助けてくれる人が周囲にいること、身近にドクターがいること、車を使わずに日常の行動ができること(商店街との距離、交通機関の利便性、坂道・階段等道路の状況)などである。現在こうした条件を満足するような自宅にすめている高齢者は少ないのではないかと思われるものの、まだ先の問題として真剣に考えている人は少ない。
高齢者の住宅問題と取り組んでいるNPO法人シニアライフ情報センターの話では、一般的には70歳以降になってようやく問題に気づいて検討を開始するが実際に住み替えをするのは80歳を過ぎてからとのこと。高齢になればなるほど引っ越し作業を含めた負担の大きさは若い時の何倍にもなる。
最近は受け皿となる有料老人ホームが各地に建設されているが現在のところその供給戸数は約13万戸であり、高齢者人口の1%にも満たない。
自立高齢者と要介護高齢者を合わせた供給量の目安としては欧米諸国では10%をめざしているが日本の現時点での供給量は5%程度であり将来的にも不足感は否めないのである。
日本では少子化によって住宅難は解消されたようにみえるが、新たな課題が発生しているわけで、準備は早ければ早いほどいいわけである。
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