2017年12月11日月曜日

相続に際して配偶者の居住権が議論されています

配偶者の一方(たとえば夫)が亡くなった場合、通常は他方の配偶者(妻)はそれまで被相続人(夫)と同居してきた建物に引き続き居住することを希望します。
ところが妻に共同相続人(たとえば夫の前妻の子とか)が存在する場合には夫名義の建物は遺産となるので遺産分割が終了するまでは共同相続人による共有状態となるので最終的にはだれの所有になるのかわかりません。
現行の民法では「このような場合妻が引き続き居住していくことが許されるのか?」疑問となってきます。

妻の側のこうした不安定な状態は好ましくないのでそれを解消していく必要がありそうです。
相続税額の面からは妻に対してかなりの優遇措置が既にあるので相続できれば相続税支払いが発生する懸念はあまりない場合が多いのですが、居住できるのか否かという立場からみると不安定な立場であるのが現実です。これでは困りますね。

こうした問題点を踏まえて現在法制審議会では民法の相続法制に関する改正案「配偶者の居住権」が議論されている、とのことです。その概要は以下の通りです。

これまで民法では、被相続人(相続される側)が亡くなった場合の配偶者の居住権については何も規定していませんでした。その結果、これまで何十年も一緒に居住していた配偶者が、他の相続人に家を明け渡さなければいけない事態が発生しています。このような事態を解消し、配偶者の居住権や生活を保護するため、解決の糸口として検討されているのが、「配偶者の居住権の創設」です。これには「短期居住権」と「長期居住権」の2つの具体案が示されています。

短期居住権:相続開始後約6ヶ月間の居住権を確保

短期居住権とは、「配偶者が相続開始時に被相続人の建物を無償で使用(居住)していた場合に、遺産分割までの間、無償使用ができる」とする制度です。この制度の創設により、配偶者の従前の生活状態が一時的に保護されることになります。簡単にいうと、被相続人が亡くなった後も、いきなり家から追い出される事態を防ぐことができるということです。

 長期居住権:長期間の居住権を確保

長期居住権とは、配偶者が相続開始時に被相続人の所有建物に居住していた場合、一定の場合に、長期居住権を認めるとする制度です。これを制度として相続法上規定することにより、居住者の生活の保護をさらに強化することができます。簡単にいうと、短期居住権のように半年などの短期間ではなく、一生、あるいは数十年単位で居住権を認めて生活を保護しようということです。






0 件のコメント: