2017年10月14日土曜日

相続の事例から

遺産相続に対する関心が高まっています。対象となる相続人が多いほどもめるケースが多く、お金がからむので対立も尖鋭化しがちです。
相続問題についてはもめないように定められたルールもあるのですが複雑な上、多くの場合親族間の感情的な要素もからむためいざ具体化するとたいへんです。

遺産分割の基本としては対象となる財産の範囲を明確化することが重要ですが、それは
1.被相続人の死亡時に存在していた財産であり
2.現在も存在し、
3.まだ未分割であること
という原則があります。

この原則から問題となったケースをあげてみましょう。

1.一部の相続人が被相続人の死亡前に払い戻した被相続人名義の預貯金
母親の世話をしている長女が他の兄弟たちの知らぬまに預金を下ろしてしまうことはよくあります。いざ遺産分割協議の場で他の兄弟たちが不満を言いだした場合ですが、「相続開始時には既に預貯金は存在していません」ので遺産分割の対象とはならないのです。
どうしても問題化したい場合には遺産分割の場で解決するのではなく「不当利得返還」という名目で別途裁判を起こして請求していく、ということになります。

2.一部の相続人が被相続人の死亡後に払い戻した被相続人名義の預金
この場合は遺産分割協議(現在)時には既に被相続人の預金債権は存在しないので遺産分割の対象となならないのです。
他の相続人に無断で預貯金を払い戻した場合には他の相続人の権利を侵害したものとして不当利得あるいは不法行為となり裁判の対象となりえます。

3.葬儀費用、香典、遺産の管理費用など
これらは被相続人が生前有していた財産ではないので遺産分割の対象になりません。
相続人間の立て替え金債権債務の問題ですので話し合いがつかなければ別途裁判で解決することになります。

というようにけっこうたいへんですので取り扱い要注意ですね。

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