そんなことあるのか?と思えるかもしれませんが、事実いるのです。
世界人権宣言第15条には、「すべての人は、国籍をもつ権利を有する」と明記されています。
いっぽう日本の民法では「離婚後300日以内に生まれた子は前の夫の子供と推定される」
となると離婚後300日以内に前の夫でなく現夫の子供が誕生した場合(現代ではこういうことはよくあるようです)その子供は自動的に離婚した前夫のこどもとして戸籍に登録されてしまうことになります。
前夫が協力的で「嫡出否認」の届け出をし、かつ現夫が「認知」の手続きをとってくれれば子供は現夫を親とする戸籍に登録されるので何も問題とはならないのですが、今回取り扱ったケースは前夫が全く非協力的で何も「嫡出否認」の手続きを取ってくれないために子供の戸籍がつくれずに宙にういた状態となっていました。
戸籍は日本国民であることの証明で、戸籍がなければ住民票がない、ということなので義務教育が受けられない、運転免許証が取れない、パスポートが取れない、銀行口座を開こうとしても携帯の契約をしたくても確認書類がないからできない、保険にもはいれないので医療費は全額自己負担のまま、ということになってしまう。
子供の将来のためになんとかしなければならない、ということでこの両親は家庭裁判所に駆け込んできました。
まず母親に代わり裁判所が前夫と連絡をとり(母親に対しては感情的反発があり母親との直接の会話は無理であった前夫でしたが)事実関係を確認したところ「自分との間の子供ではない。でも嫡出否認には協力しない」、現夫からは「DNA鑑定によって自分の子である確率がかなり高い、という結果がでれば認知する」という証言が得られました。
このケースについてはこれから裁判官がどのような決定を下すか、ということになりますがとりあえず解決の方向が見えてきた、ということで当事者は安心したようです。
日本の法律では戸籍は「血統主義(誰の子供であるか、家系が明らかでないと決められない)」であすが諸外国では「出生主義(どこで生まれたかで決める」が多いようです。こんなところにもまだ「家制度」のなごりがあるのですね。
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